スケルトンリノベーションを検討するとき、最も気になるのが「結局いくら必要なのか」「1,000万円でもできるのか」という費用ではないでしょうか。
結論からいうと、スケルトンリノベーションの費用は「マンションか戸建てか」と「どこまでスケルトンにするか」で大きく変わります。特に戸建てでは、内装だけでなく耐震・断熱・窓・屋根・外壁まで工事範囲を広げるかによって総額が大きく変わります。
1,000万円でも実現できるケースはありますが、広さ・既存状態・設備グレード・水回り移動・造作の量などの条件次第です。「スケルトンなら○万円」と固定的に考えるのではなく、何を解体し、何を残し、何を更新するかまで分けて予算を考えることが重要です。

スケルトンリノベーションとは?「どこまで壊すか」を最初に確認する

スケルトンリノベーションとは、内装・設備・間仕切りなどを大きく撤去し、建物の構造部分を露出させた状態から住まいをつくり直す方法です。
ただし、「スケルトン」という言葉に全国共通の工事範囲が決まっているわけではありません。マンションならコンクリート躯体を残して専有部分を解体することが多い一方、戸建てでは柱・梁などを残して内外装まで撤去するケースもあれば、室内だけを全面解体して「スケルトン」と呼ぶ場合もあります。
そのため見積もりでは、「スケルトンリノベーション一式」という名称だけで判断せず、床・壁・天井・設備・配管・配線・断熱材・外壁・屋根のうち、どこまで撤去してどこまで新しくするのかを確認してください。
スケルトンにする最大の意味は見えない部分へ手を入れやすくなること

スケルトン化のメリットは、単に間取りを自由にできることだけではありません。通常は床・壁・天井の中に隠れている給排水管、電気配線、断熱材、下地などの状態を確認し、必要に応じて更新しやすくなることが大きな利点です。
築年数が進んだ住宅では、内装だけを新しくしても配管や断熱などは古いまま残ります。長く住むことを前提に全面改修するなら、仕上げを閉じる前に、後から変更しにくい部分へどこまで予算を使うかを決めることが重要です。
スケルトンリノベーションの費用相場は工事範囲によって大きく変わる

2026年時点で各社が公開している価格帯を見ると、マンションの全面的なスケルトンリノベーションでは1,000万円前後から1,700万円程度、戸建てでは1,500万円台から3,000万円を超える例まで見られます。
ただし、これは公的な統一相場ではありません。同じ「スケルトンリノベーション」でも、配管更新、断熱、耐震、外装などをどこまで含むかが会社・物件ごとに異なるためです。相場レンジは予算を考え始める入口として使い、実際の判断は工事内訳で行ってください。
| 費用を左右する条件 | 金額が上がりやすいケース |
|---|---|
| 床面積 | 施工する面積が広い |
| 解体範囲 | 床・壁・天井・設備を全面撤去する |
| 水回り | キッチン・浴室・トイレを大きく移動する |
| 設備 | 高グレード品や造作キッチンを採用する |
| 内装・造作 | 無垢材、タイル、造作家具・建具が多い |
| 既存状態 | 下地・配管・構造部分に補修が必要 |
| 性能向上 | 断熱・窓・耐震まで改修する |
| 外装 | 戸建てで屋根・外壁まで更新する |
| 施工条件 | 搬入しにくい、駐車できない、工事時間が限定される |
特に注意したいのが、面積単価だけで比較する方法です。同じ70㎡でも、設備を同じ位置で交換する計画と、水回りを全面移動し、造作家具やタイルを多用する計画では必要な工事が異なります。
「㎡単価×床面積」だけで予算を確定せず、見積もり段階では工事項目ごとの内容を確認してください。
マンションと戸建てでは同じスケルトンリノベーションでも費用構造が違う

マンションでは基本的に専有部分の内側をつくり直す工事ですが、戸建てでは構造・断熱・外装まで含めて再生することがあります。この違いが、費用差につながります。
| 確認項目 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 主な解体範囲 | 専有部の内装・設備・間仕切り | 室内に加え外装まで含む場合がある |
| 構造 | RC躯体は変更できない | 柱・梁・耐力壁等を確認 |
| 水回り | PS・立て管・床下寸法の影響が大きい | 配管経路の変更余地は比較的大きい |
| 性能向上 | 専有部分でできる範囲が中心 | 耐震・断熱・窓・外皮まで検討可能 |
| 外装 | 共用部のため原則対象外 | 屋根・外壁も工事対象になり得る |
マンションはPS・排水勾配・管理規約が工事範囲を決める

マンションをスケルトン状態にしても、建物のコンクリート躯体、共用の立て管、PS(パイプスペース)、サッシ、玄関扉などを自由に動かせるわけではありません。
水回りの移動では、特に排水管の接続位置・必要な排水勾配・床下寸法を確認します。キッチンや浴室を立て管から遠ざけるほど、床を上げる必要が生じたり、希望位置まで移動できなかったりする場合があります。
さらに、床材の遮音条件、工事時間、資材搬入、共用部の養生などは管理規約・工事細則によって異なります。プラン決定後ではなく、設計前に管理規約を確認してください。

戸建ては耐震・断熱・外装まで工事すると総額が上がりやすい

戸建てでは、スケルトン化したタイミングで耐震性、断熱材、窓、配管、雨漏り、腐食、シロアリ被害などを確認できます。
ただし、すべての戸建てで耐震補強や断熱材の全交換が必須というわけではありません。必要な工事は建築時期、構造、現在の性能、劣化状態、今後何年住むかによって判断します。
一方、調査の結果として耐震・断熱・屋根・外壁まで改修すれば、内装中心のマンションより工事項目が増えるため、総額も上がりやすくなります。
戸建ては2025年4月以降、工事内容によって建築確認が必要
2025年4月以降、2階建て木造戸建てなどで行う大規模なリフォームのうち、建築基準法上の「大規模の修繕・大規模の模様替」に該当する工事は、建築確認手続きの対象になっています。
対象となるかどうかは「スケルトンリノベーション」という名称ではなく、壁・柱・床・梁・屋根・階段といった主要構造部の一種以上について、過半を改修するかどうかなどで判断されます。
確認申請が必要になれば、設計・審査・工程にも影響します。戸建てで大規模なスケルトンリノベーションを行う場合は、見積もり段階で建築確認の要否、設計・申請費用、申請期間が見積もりと工程に含まれているかを確認してください。
スケルトンリノベーションは1000万円でできる?

1,000万円でスケルトンリノベーションができるかは、マンションなら条件次第、戸建ての全面改修ではかなり条件を絞る必要があると考えるのが現実的です。
実際に1,000万円前後で施工されたマンション事例は存在します。しかし、現在公開されている費用レンジには1,000万円を超える事例も多く、「70㎡なら1,000万円でできる」のように面積だけで判断することはできません。
1000万円に収まりやすくなる条件

マンションで1,000万円前後を狙う場合は、設備・造作・水回り移動など、金額を大きく動かす項目へメリハリをつけます。
- 床面積が大きすぎない
- キッチン・浴室などの移動距離を抑える
- 設備は標準的な既製品を中心にする
- 造作家具・造作建具を必要な場所へ絞る
- タイル・無垢材など高価な仕上げをポイント使いする
- 解体後の大規模な補修が少ない
反対に、オーダーキッチン、造作家具、大判タイル、特殊な建具、水回りの大幅移動などを重ねると、同じ床面積でも費用は上がります。
戸建てで1000万円が難しくなりやすい理由
戸建てでは、室内だけでなく、耐震・断熱・窓・屋根・外壁などまで工事対象になることがあります。そのため、1,000万円を内装・設備だけに使えるとは限りません。
たとえば現地調査で構造補強や雨漏り修繕が必要と判明すれば、見た目より建物の安全性・耐久性へ予算を優先する必要があります。
1,000万円という予算ありきで工事範囲を決めるのではなく、まず「今直さなければ後からやり直しにくい部分」を洗い出し、その残額で設備・仕上げを調整する順序で考えてください。
スケルトンリノベーションの費用は何にかかる?
費用を抑えるには、単価表より先に何にお金が使われるのかを理解する必要があります。
| 主な費用 | 内容 |
|---|---|
| 仮設・養生 | 共用部・室内養生、仮設設備など |
| 解体 | 内装・設備・間仕切り等の撤去 |
| 廃材処分・搬出 | 撤去材の運搬・処分 |
| 下地・木工事 | 床・壁・天井の下地、間仕切り、造作 |
| 給排水・ガス | 配管更新、設備移設 |
| 電気 | 配線、分電盤、照明、コンセント |
| 設備 | キッチン、浴室、洗面、トイレ等 |
| 内装 | 床、壁、天井、塗装、タイル等 |
| 性能向上 | 必要に応じて断熱・耐震・窓等 |
| 設計・管理・諸経費 | 設計、施工管理、現場経費等 |
この中で削ってよい項目と、削ると将来のやり直しが増える項目は同じではありません。たとえば設備グレードや仕上げ材は調整しやすい一方、壁を閉じたあとに配管や断熱をやり直す場合は、仕上げの解体・復旧まで必要になります。
スケルトンリノベーションの費用を抑えるなら「後から変えやすい部分」から調整する

減額するときは、何でも安価なものへ替えるのではなく、後から変更しにくいものを残し、後から交換しやすいものから調整すると失敗しにくくなります。
水回りの移動距離を抑える
キッチンや浴室の位置を変えると、設備代だけでなく、給水・給湯・排水・換気・電気・ガス・床下地など複数工種が影響します。
現在の位置に大きな問題がないなら、位置を維持しながら間取りや収納を変えるだけでも、動線を改善できる場合があります。
造作と既製品を使い分ける
造作家具・造作建具は寸法を合わせやすく、空間を整えられる一方、大工・家具・塗装などの手間が増えます。
収納のすべてを造作するのではなく、造作しないと納まらない場所だけ造作し、内部収納などは既製品を使うと予算を調整できます。
耐震・断熱・配管などは減額前に将来のやり直しを考える
戸建てで必要と判断された耐震補強、断熱改修、劣化部分の補修や、築古住宅の配管更新などは、完成後に追加すると再び壁・床を解体する可能性があります。
そのため、見積もりを下げるときは、「今やめても後から比較的簡単に交換できるもの」と「今やらないと再解体が必要になるもの」を施工会社に分けてもらうと判断しやすくなります。
スケルトンリノベーションの見積もりで確認したい項目

スケルトンリノベーションでは、解体するまで完全には確認できない部分があります。そのため、見積もりの安さよりも、見積時点で分かっている費用と、解体後に変わる可能性がある費用を分けて説明しているかを確認してください。
- どこまで解体する価格なのか
- 既存配管を残すのか更新するのか
- 下地補修をどこまで見込んでいるか
- 設備の商品・グレード・数量
- 断熱・耐震・窓工事が含まれているか
- 解体後に追加費用となる条件
- 廃材処分・搬入搬出・養生が含まれているか
- 設計費・申請費・現場管理費・諸経費が含まれているか
たとえば解体後に腐食が見つかった場合でも、追加工事になること自体が問題なのではありません。重要なのは、追加工事をする前に「必要な理由・施工方法・金額」を説明し、施主の承認を取るルールがあるかです。

工事費以外にも仮住まい・引っ越し・保管費を見込む

住宅全体をスケルトン状態まで解体する工事では、住みながら施工するのが難しいケースが多く、工事費以外の支出も予算に含める必要があります。
主なものは、仮住まい家賃、仮住まいへの往復の引っ越し、敷金・礼金・仲介手数料、トランクルームなどの荷物保管費です。
ただし、これらが「必ず数百万円かかる」と決まっているわけではありません。工期、現在の住宅費、家族人数、仮住まいの地域、荷物量によって変わるため、工事見積もりとは別に計算してください。

スケルトンリノベーションは全面改修の経験がある会社へ依頼する

スケルトンリノベーションでは、デザインだけでなく、解体後の既存状態を見ながら設計・施工を調整する能力が重要です。
会社を比較するときは、「スケルトンリノベーションの実績がありますか」だけでなく、自分と近い構造・築年数・工事範囲の実績があるかを確認してください。
さらに、解体後に配管劣化や構造上の問題が見つかった過去事例について、「どのように設計変更したか」「追加費用をどう説明したか」まで聞くと、実務対応力を比較できます。

スケルトンリノベーションの費用に関するよくある質問
- スケルトンリノベーションは1000万円でできますか?
-
マンションでは、面積、設備、造作、水回り移動、既存状態などの条件次第で1,000万円前後に収まる事例があります。ただし、現在は1,000万円を超える全面改修事例も多いため、1,000万円で必ずできるとは考えないほうが安全です。
戸建てで耐震・断熱・窓・外装まで全面的に更新する場合は、1,000万円では工事範囲をかなり絞る必要があります。
- スケルトンリノベーションとフルリノベーションは同じですか?
-
同じ意味で使われることもありますが、厳密な共通定義があるわけではありません。フルリノベーションでも既存下地や設備の一部を残す場合があります。
名称ではなく、何を撤去し、何を残し、どの設備・配管・性能まで更新する契約なのかを見積書と仕様書で確認してください。
- 築古住宅ならスケルトンリノベーションをしたほうがいいですか?
-
築年数だけで決める必要はありません。現在の間取り、配管・配線、断熱、構造、雨漏りや劣化、今後の居住期間によって必要な工事は変わります。
表層・設備だけ直せば目的を達成できる住宅まで全面解体すると、必要以上に費用が増えることがあります。まず現地調査で何を残せるか、何を更新する必要があるかを確認してください。
- 解体後に追加費用が出るのは普通ですか?
-
既存住宅では、仕上げを剥がすまで確認できない劣化・下地・配管などがあるため、追加工事が生じる可能性はあります。ただし、すべての物件で追加費用が発生するわけではありません。
契約前に、どの状態が追加工事になるのか、追加時に誰が確認し、いつ金額を提示するのかを決めておくことが重要です。
まとめ|スケルトンリノベーションの費用は「何を新しくするか」で判断する
スケルトンリノベーションの費用は、床面積だけでなく、建物種別、解体範囲、設備、水回り移動、造作、既存状態、耐震・断熱、外装などによって大きく変わります。
1,000万円でできるかどうかを判断するときも、単純な㎡単価ではなく「後から変更しにくい部分へいくら必要か」を先に確認することが重要です。
見積もりでは「スケルトンリノベーション一式」という名称だけを見ず、解体、下地、配管、電気、設備、性能向上、仕上げ、設計・申請、諸経費のどこまで含まれているかを確認し、同じ工事範囲で比較しましょう。
