床の間接照明は、「床に照明器具を置く方法」と「床や家具・玄関框などに光源を納める方法」を分けて考えると選びやすくなります。
コンセント式のフロアランプや小型アップライトなら後付けしやすい一方、家具下・玄関框・壁際・床埋め込みに光を仕込む場合は、光源を隠す納まりや配線、掃除、器具交換までリノベーション時に計画しておくことが重要です。
床に近い位置の照明は、器具そのものより「どこに光を当てるか」「普段の目線から光源が見えないか」で仕上がりが変わります。
この記事では、床置きの間接照明から、家具下・玄関框・床埋め込み照明まで、設置方法ごとの違いと失敗しにくい選び方を解説します。
床の間接照明は「床置き」と「床面に納める照明」を分けて考える

床の間接照明には、工事をせず床に置くタイプと、建築や家具の中に光源を納めるタイプがあります。
どちらも床に近い位置から光をつくれますが、設置方法・光の見え方・後から移動できるかが大きく異なります。
| 方法 | 向いている使い方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 床置きライト | 壁・天井・植物を照らす | 光源の眩しさ、コード、転倒 |
| 家具・框の下 | 床面を柔らかく照らす、浮遊感を出す | 光源を隠す奥行き、掃除、器具交換 |
| 壁際・巾木まわり | 廊下や寝室の足元、壁面演出 | 光の広がり、壁・床の仕上げ、眩しさ |
| 床埋め込み | 壁面のアップライト、誘導灯 | 適合場所、耐荷重、防水・排水、施工深さ |
床置きの間接照明は後付けしやすい

間接照明を床置きで試したい場合は、コンセント式のフロアランプや小型アップライトが最も取り入れやすい方法です。
壁や天井へ光を向ければ、反射した光を部屋へ広げられます。器具を移動できるため、家具配置を変えながら照らす位置を調整できるのもメリットです。
ただし、床置き照明は器具や電源コードが生活動線に出やすいため、家具を置く場所とコンセントの位置をセットで考えます。コードを人が歩く場所に横切らせないことも重要です。
フロアランプの高さ・配光・壁や天井の照らし方については、フロアランプで間接照明をつくる方法で詳しく解説しています。

家具下や玄関框に仕込むならリノベーション時に計画する

器具の存在感を抑えたい場合は、床に直接置くより、家具や玄関框などの奥へ光源を納める方法が向いています。
照明器具が目線から隠れる位置にあり、床面だけが明るく見えるようにすると、光源そのものを意識しにくい間接照明になります。
一方で、造作家具の寸法や電源位置が決まってから照明を追加すると、器具がはみ出したり、電源装置やコードだけが見えたりすることがあります。造作寸法・器具寸法・配線を同時に決めることがポイントです。
なお、床埋め込みのアップライトでも、壁や天井に光を当てて反射光を利用する場合と、発光面を直接見せる場合では光の性質が異なります。「床にある照明=すべて間接照明」ではありません。
床の間接照明は光源を直接見せないことが最優先

床面に近い照明で失敗しやすいのは、立った位置や座った位置から光源が直接見えて眩しくなるケースです。
床付近の低い光は、夜間の足元確認や空間の落ち着きをつくるのに使えます。ただし、器具が目線へ直接入ると、周囲が暗いほど光源との明暗差が大きくなります。
- 部屋へ入ったときの立った目線
- ソファや椅子に座ったときの目線
- ベッドで横になったときの低い目線
- 鏡や窓、光沢のある床への映り込み
特にベッド下や廊下では、立った状態では見えなかったLEDが、横になったり離れた位置から見たりすると視界に入ることがあります。
器具を設置した位置だけを見るのではなく、「実際に人がいる位置」から発光面を確認しましょう。
足元照明を夜間の移動用として使う場合の考え方は、足元の間接照明で安全性と雰囲気を両立する方法でも解説しています。

玄関框・家具下・ベッド下は光源を隠せる奥行きと交換方法を確保する

床面をきれいに照らすには、光源を隠すスペースだけでなく、掃除や器具交換ができる納まりにしておく必要があります。
玄関框・下駄箱下は足元を照らしながら器具を隠す

玄関では、上がり框や浮かせた下駄箱の下を利用すると、床面を照らしながら器具を目立ちにくくできます。
光源を框や収納の奥へ入れ、玄関に立った位置から発光面が直接見えないようにします。ただし、奥へ入れすぎると光が狭い範囲にしか届かないため、使用する器具の配光と納まり寸法を確認してください。
また、玄関は砂やほこりが入りやすいため、器具の前を掃除できるか、故障時に取り外せるかも確認します。
玄関の人感センサーや框下への具体的な納め方は、玄関の間接照明と人感センサーの記事で詳しく解説しています。

ベッド・テレビボード・洗面台などの家具下は連続した光をつくる
家具の下へライン状の照明を入れる場合は、家具全体が浮いて見えるような連続した光をつくると納まりがすっきりします。

LEDの粒や器具の端部が見えると、床面に点状の光や不自然な切れ目が出ることがあります。器具の長さだけでなく、発光面の連続性、電源装置を隠す場所、交換時に手を入れられるスペースまで確認してください。
洗面室など水が使われる場所では、通常の室内と同じ器具をそのまま使えるとは限りません。設置場所に適合する製品か、メーカー仕様を確認して選びます。
床埋め込み照明は防水等級だけでなく耐荷重・排水・施工条件まで確認する

床埋め込み照明は、「防水性能の数字が高い器具を選べばよい」というものではありません。
床に組み込む器具は製品によって使用できる場所や施工方法が異なります。歩行する場所なら荷重、水がかかる可能性がある場所なら防水・排水、床下へ納める場合は埋込深さや取付ボックスなど、設置条件ごとにメーカーの仕様を確認します。
「窓際ならIP65以上」のように、場所だけで一律のIP等級を決めるのは避けてください。同じ床埋め込み器具でも、用途や構造によって必要な性能・施工条件は異なります。
- 屋内・屋外・湿気のある場所など、器具の適合場所
- IP等級やメーカーが指定する水への対策
- 歩行する場所に設置する場合の耐荷重性能
- 排水工事や取付ボックスの必要性
- 床仕上げとの高さや必要な埋込寸法
- 器具・電源部を点検、交換できるか
床材を仕上げた後に埋込寸法が合わないことが分かると、床の再施工が必要になる場合があります。使用する器具を決めてから、床下の納まりを設計するのが基本です。
また、コンセントへ差して使う完成品の床置きライトと、住宅配線へ接続する埋め込み照明では工事の扱いが異なります。
屋内配線の変更や照明器具への電線の接続など、資格が必要な電気工事はDIYで行わず、電気工事士へ依頼してください。
資格が必要な作業と軽微な工事の範囲については、経済産業省「電気工事士等資格不要の『軽微な工事』とは」で確認できます。
床材の艶や色によって間接照明の見え方は変わる

床の間接照明は、器具だけでなく光を受ける床材まで含めて考える必要があります。
特に光沢の強いタイルや石材などでは、床面が鏡のようになり、隠したつもりのLEDやライン照明が映り込むことがあります。器具本体が直接見えなくても、反射によって光源が見えてしまうケースです。
反対に、艶を抑えた床材は光源の輪郭が映り込みにくく、やわらかな反射光をつくりやすくなります。
また、濃い色の床は明るい床に比べて反射光が弱く見えやすいため、床そのものを明るく見せたいのか、壁面や家具の浮遊感を見せたいのかで照射方向を調整します。
床材のサンプルだけで決めず、可能であれば採用予定の光を当てて、光沢・色・凹凸の見え方を確認しましょう。
リノベーションでは床を仕上げる前に器具・配線・交換方法を決める

家具下や床埋め込みの間接照明を取り入れるなら、床や造作家具を仕上げる前に照明計画を確定させます。
床置きライトは完成後でも追加できますが、家具や框へ組み込む照明は、器具を隠すスペースや配線経路が必要です。リノベーションでは、内装が完成してから照明器具だけを選ぶのではなく、次の順番で確認すると失敗を減らせます。
- どの床面・壁面を照らしたいか決める
- 立つ・座る・横になる位置から光源が見えないか確認する
- 器具の配光・寸法・適合場所を確認する
- 電源・スイッチ・センサーの位置を決める
- 掃除・点検・器具交換の方法を決める
- 最後に床・家具・框などの仕上げ寸法を確定する
特にライン照明は、灯体だけでなく電源装置や接続部を納めるスペースが必要になることがあります。器具カタログや施工説明書を設計担当者と共有してから造作寸法を決めると安心です。
間接照明全体の選び方から整理したい場合は、間接照明の選び方も参考にしてください。

床や家具へ照明を組み込む工事の費用は、器具代だけでなく造作・電気・内装復旧の範囲によって変わります。費用については、間接照明の費用相場で詳しく解説しています。

まとめ|床の間接照明は「光源を隠す場所」と「見る位置」から決める

床の間接照明をきれいに見せるには、器具のデザインより先に、照らす面と光源を隠す位置を決めることが重要です。
後付けしたいなら床置きのフロアランプ、家具や玄関框と一体化させたいならライン照明、壁を下から照らしたいなら床埋め込み器具など、目的によって適した方法は変わります。
床面だけを見るのではなく、普段過ごす位置から光源が見えないか、掃除や交換ができるかまで確認してから施工しましょう。
