間接照明を取り入れるとき、「どこに置けばおしゃれに見える?」「壁と天井のどちらを照らせばいい?」と迷う方も多いでしょう。
結論からいうと、間接照明は器具を置く場所から決めるのではなく、「どの面を見せたいか」から配置を決めるのが基本です。
壁を見せたいなら壁へ、天井を明るく見せたいなら天井へ、床や家具を浮かせて見せたいなら低い位置へ光を向けます。
そのうえで、普段座る場所・立つ場所・寝る場所から光源が直接見えないか、光の始点と終点が不自然に切れないか、清掃や器具交換ができるかまで確認します。
間接照明の置き方は「何を照らすか」から決める
間接照明では、照明器具そのものよりも光を受けた壁・天井・床・家具が視界に入ります。
そのため、「この場所にLEDテープを置きたい」と器具位置から考えるよりも、先に完成後に明るく見せたい面を決めるほうが配置を整理しやすくなります。
| 照らす場所 | 代表的な方法 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 天井 | コーブ照明、家具上のアッパーライト | 天井面を広く光らせたい |
| 壁 | コーニス照明、家具裏のライン照明 | 壁材やアクセントウォールを見せたい |
| 床 | 家具下・ベッド下・巾木付近の照明 | 足元や床面に低い光をつくりたい |
| 家具・飾り棚 | 棚下・棚奥・背板側のライン照明 | 小物や素材を見せたい |
「壁なら広く見える」「床なら落ち着く」と効果を決めつけるのではなく、実際にどの面が視界へ入り、その面がどう明るくなるかを見ることが重要です。
- 何を照らしたいか
- どこからその面を見るか
- どの方向から光を当てるか
- 光源をどこへ隠すか
- 光の始点・終点をどこにするか
- 器具や電源装置をどう交換するか

天井・壁・床・家具で間接照明の配置方法は変わる
照らす面が決まったら、次に光をどの方向から当てるかを決めます。
同じライン照明でも、天井へ向けるのか、壁へ向けるのか、床面へ向けるのかで必要な器具位置・造作・視線の確認方法が変わります。
天井を照らすならコーブ照明や家具上へ配置する
天井を反射面として使う代表的な方法がコーブ照明です。折り上げ天井や幕板の内側へライン照明を隠し、上方向へ光を出して天井面を照らします。
天井面をきれいに見せるには、器具のルーメンだけでなく、器具と天井の距離・配光・幕板の高さ・天井材の色やツヤ・光の始点と終点まで確認します。
器具を天井へ近づけすぎると器具付近だけが強く光り、ムラが目立つ場合があります。反対に、離せば必ずきれいに広がるわけでもありません。
「天井から○cm離せば正解」と固定寸法で決めず、採用器具の配光と造作断面をセットで決めることが基本です。
家具の上から天井を照らす場合も距離だけで決めない
収納家具やテレビボードの上へライン照明を置いて、天井へ光を当てる方法もあります。
必要な距離は、家具の高さ、器具の配光、器具を向ける角度、天井までの距離によって変わります。
家具上へ置く場合は、正面から隠れていてもソファやダイニング側から見上げたときにLEDが見えないかも確認しましょう。
壁を照らすなら「見せたい壁」の手前に光源を隠す
壁面を間接的に照らす代表的な方法がコーニス照明です。壁の上部などに器具を隠し、壁面へ向けて光を出します。
壁面照明で重要なのは、「その壁を本当に見せたいか」です。間接照明は壁にあるものまで強調するため、設備や仕上げの状態も見えやすくなります。
- エアコン
- 給気口・換気口
- コンセント・スイッチ
- 点検口
- クロスの継ぎ目や下地の不陸
- 光沢材への光源の映り込み
器具を配置する前に、照らす壁面全体を見て「強調したくないものがないか」確認しましょう。

床を照らすなら家具・ベッド・収納の下に配置する
低い位置に間接照明を入れたい場合は、家具やベッド、収納の下へライン照明を隠して床面を照らす方法があります。
夜間に低い位置へ光をつくりやすい一方、床材が光沢仕上げだとLEDの粒や器具そのものが床へ映り込むことがあります。
また、ベッド下や収納下はほこりがたまりやすいため、光の見え方だけでなく、清掃方法や器具へアクセスできるかも確認してください。

飾り棚は棚板・背板・展示物のどこを照らすか決める
飾り棚へ間接照明を入れる場合も、LEDをどこへ貼るかから決めないようにしましょう。
棚板の下面から展示物を照らす、棚奥から背板を照らす、手前から奥へ光を飛ばすなど、光を当てる面によって展示物の見え方が変わります。
ガラスや光沢のある小物を置くなら、LEDの発光部が映り込まない角度も確認しましょう。
間接照明は普段の視線から光源が見えない位置へ置く
配置で特に重要なのが、実際に生活する位置から光源が見えないことです。
設計図の正面図だけでは隠れているように見えても、実際には座る・寝る・階段を上るなど視線の高さが変わると、LEDの発光部が見えることがあります。
- ソファに座った位置
- ダイニングチェアに座った位置
- キッチンに立った位置
- ベッドへ横になった位置
- 廊下・階段から見た位置
- 隣接する部屋から見た位置
「正面から器具が見えない」だけではなく、実際の生活動線から見上げ・見下ろしも確認しましょう。
専門書『照明デザイン究極ガイド』でも、LEDライン照明を使った間接照明では、幕板や底板で器具を隠すカットオフラインが納まり上の重要なポイントとして図解されています。
器具を隠しすぎると光まで遮る
光源を見せないことは重要ですが、幕板を高くしすぎるなど、器具を隠すことだけを優先すると光まで遮ってしまいます。
その結果、反射面の一部しか光らない、強い明暗差ができる、想定より暗くなる、不自然な光の帯ができるといった失敗につながります。
幕板や掘り込みの寸法は、固定の数字で決めるのではなく、採用器具の高さ・配光・設置方向とセットで決めることが大切です。
光の始点と終点が見える場所は配置を調整する
ライン照明では、器具中央の光だけでなく光がどこから始まり、どこで終わるかも仕上がりを左右します。
壁の途中で急に光が切れると、器具自体は見えなくても「ここで照明が終わっている」とわかりやすくなります。
特に壁のコーナー、梁の手前、カーテンボックス周辺、造作家具の端部では、完成時に反射面へ現れる光の範囲まで確認しましょう。
複数のライン照明を連結する場合は、器具端部の非発光部分や連結部で暗い筋が出ないかも、メーカーの施工例や仕様で確認します。
造作間接照明は平面図だけでなく断面図で確認する
間接照明は、平面図だけでは器具が見えるか、幕板が光を遮るかを判断しにくい照明です。
リノベーションでコーブ照明・コーニス照明・家具組み込み照明をつくるなら、器具と反射面の位置関係がわかる断面図を確認できると安心です。
| 断面図で見る項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 器具位置 | 光が反射面へ向かう位置・方向になっているか |
| 幕板・底板 | 発光部を隠しつつ光まで遮っていないか |
| 視線 | ソファ・ベッド・隣室などから発光部が見えないか |
| 器具寸法 | 実際に採用する器具が納まるスペースがあるか |
| 電源装置 | 設置場所と点検・交換方法を確保しているか |
「器具が入る寸法」だけではなく、「光が出る寸法」と「交換できる寸法」まで見ることが、造作間接照明の納まりで重要です。
部屋別|間接照明の配置は生活時の視線と動線から決める
同じ間接照明でも、リビング・寝室・玄関では見る位置や必要な役割が違います。
部屋別に考えるときも、「おすすめの置き場所」をそのまま当てはめるのではなく、家具配置・生活姿勢・歩行動線から確認しましょう。
リビングは「見せ場」を1つ決めてから配置する
リビングは天井、テレビ背面、収納、カーテン、床、飾り棚など、間接照明を入れられる場所が多い空間です。
だからこそ、全部を照らすのではなく、まず天井・テレビ背面・石やタイルの壁・カーテン面などから主役を1つ決めると、光の役割を整理しやすくなります。
読書や細かい作業をする場所は、間接照明だけに頼らずスタンドライトやペンダントなどで補います。
間接照明を何個置くかではなく、どの光を主役にして、どの光を補助にするかを決めることがポイントです。

テレビ周りは画面への映り込みと配線を確認する
テレビボードやテレビ背面へライン照明を入れる場合は、壁だけでなくテレビ画面や光沢家具への映り込みを確認します。
テレビの横からLEDの粒が見えないか、画面へ器具が映らないか、電源コードや電源装置をどこへ収めるかまで先に決めておきましょう。
照明・テレビ・AV機器の配線を別々に考えないことが、すっきり納めるポイントです。
寝室はベッドに横になった視線から確認する
寝室は、立った状態では光源が隠れていても、ベッドへ横になるとLEDが見えてしまうことがあります。
ヘッドボード上部、ベッド下、折り上げ天井、ベッド横の造作家具へ間接照明を入れる場合は、枕の位置から発光面が見えないかを確認します。
寝室では明るさを落として使う時間も多いため、調光できる回路にすると使い方を調整しやすくなります。
「低い位置なら寝室向き」と決めるのではなく、横になったときに光源が目に入らないかを優先してください。

玄関・廊下は段差と歩行動線を優先する
玄関や廊下では、下足収納の下や壁際に間接照明を設ける方法があります。
ただし、デザインだけで配置を決めず、玄関の上がり框や階段など段差が認識できる照明になっているかも確認しましょう。
演出用の間接照明だけで安全な明るさが足りない場合は、直接照明や足元灯を別に設けます。
コンセント式はコードまで含めて置き場所を決める
フロアスタンドやテーブルランプなど後置きできる間接照明では、器具位置だけでなくコンセントまでの配線を確認します。
家具の配置を決めずにコンセントを設けると、完成後にコードが通路を横切ったり、ACアダプターだけが目立ったりすることがあります。
- ソファ横
- テレビボード裏
- ベッドサイド
- 造作収納内
- フロアライトを置く可能性があるコーナー

間接照明の配置で失敗しやすい7パターン
間接照明の失敗は、器具の性能不足だけでなく、視線・反射面・造作・設備位置を別々に決めたことで起きるケースがあります。
1. LEDの粒が見える
ライン照明の発光面が視界へ入ると、間接照明にしたつもりでも直接光が目に入り、まぶしさや器具感が出やすくなります。
幕板・器具位置・家具位置・生活時の視線を見直し、実際に見る方向から発光部が隠れる納まりにします。
2. 反射面へ近すぎて光ムラが出る
器具を壁や天井へ近づけすぎると、器具付近だけが強く明るくなる場合があります。
一律の離隔寸法ではなく、器具の配光と反射面までの距離を合わせて検討します。
3. 幕板で光を遮っている
光源を隠そうとして幕板を高くすると、照らしたい面へ光が届かなくなることがあります。
器具を隠すカットオフラインと、器具の配光を同じ断面で確認しましょう。
4. エアコンや点検口まで強調してしまう
間接照明を入れると、照らされた面にある設備も目立ちます。
配置前に反射面全体を確認し、可能なら見せ場となる面と設備が集まる面を分けると納まりやすくなります。
5. クロスや下地の凹凸が目立つ
壁に沿うように光を当てると、下地のわずかな不陸やクロスの継ぎ目が陰影として強調されることがあります。
特に壁面を強く照らす計画では、照明計画と下地・仕上げをセットで施工会社へ確認しましょう。
6. 光を増やしすぎて見せ場がなくなる
天井・壁・床・棚を同時に照らせば、必ず豪華になるわけではありません。
明るい面が増えすぎると視線の行き先が分散し、せっかくのアクセントウォールや造作が主役に見えにくくなることがあります。
どの面を主役にするか決め、不要な照明は消せるよう回路を分けたり調光したりすると使いやすくなります。
7. 器具交換や掃除ができない
LEDライン照明を奥深くへ納めすぎると、器具や電源装置を交換しにくくなる場合があります。
また、棚上やベッド下などはほこりがたまりやすいため、清掃時に器具へ触れられるかも確認が必要です。
完成時の見た目だけでなく、手や工具が入るか、電源装置へアクセスできるかまで確認してください。
間接照明は7ステップで配置を決める
間接照明は、器具位置から決めると、あとから「光源が見える」「幕板で光が遮られる」「家具と干渉する」といった調整が増えやすくなります。
見せたい面→生活時の視線→配光→造作→メンテナンスの順で決めると、設計条件を整理しやすくなります。
- 見せたい面を決める
- 天井・壁・床・家具のどこを照らすか決める
- 家具と生活時の視線を決める
- 光源が見えない位置を検討する
- 器具の配光に合わせて造作寸法を決める
- 光の始点・終点と設備の位置を確認する
- 清掃・交換・調光・回路を確認する
特にリノベーションでは、家具、カーテンボックス、エアコン、天井高、造作寸法、コンセント位置を同時に決められます。
照明だけ先に確定させず、家具図・展開図・天井伏図・断面図をまたいで位置関係を確認すると、完成後の手戻りを減らしやすくなります。
間接照明は器具配置ではなく、反射面・視線・建築の納まりを一緒に設計すると考えると判断しやすいでしょう。
施工会社・照明担当者へ確認したい8項目
間接照明は、完成してから光源の見え方や光ムラに気づいても、造作を伴う場合は簡単に位置を変えられません。
器具発注や造作施工の前に、次の項目を打ち合わせで確認しておきましょう。
- この間接照明はどの面を照らしますか?
- ソファやベッドからLEDの発光面は見えませんか?
- 採用器具の配光に合った造作寸法ですか?
- 光の始点・終点はどこになりますか?
- 照らされる面にエアコン・換気口・点検口はありませんか?
- クロスや塗装の下地は間接照明を当てても問題ありませんか?
- 器具と電源装置を交換できますか?
- ほかの照明と回路を分けたり調光したりできますか?
図面には器具位置だけでなく「照らす面」と断面を残す
照明図に器具の記号だけが入っていても、完成時の光の見え方までは判断しにくいことがあります。
造作間接照明なら、どの面へ光を当てるか、器具をどの向きで設置するか、幕板や底板がどこに来るかを展開図や断面図で確認できる状態にしておくと認識を合わせやすくなります。
解体後に寸法が変わったら照明断面も再確認する
リノベーションでは、解体後に梁・下地・配管などが想定と違い、天井高や造作寸法を変更することがあります。
間接照明の造作寸法が変わる場合は、器具だけ元の位置へ押し込まず、発光部が見えないか、光の広がりが変わらないか、交換スペースが残るかを再確認しましょう。
間接照明の置き方・配置に関するよくある質問
- 間接照明はどこに置くのがおすすめですか?
-
器具位置から決めるのではなく、先に照らしたい面を決めます。
天井ならコーブ照明、壁ならコーニス照明、床なら家具やベッド下などが代表的な方法です。
- 間接照明は何個置けばいいですか?
-
部屋の畳数だけで個数を決めることはできません。
器具の種類、光束、配光、照らす面、間接照明の役割によって必要な数が異なります。個数を増やすより、まず主役となる面を決めて必要な光だけを配置するほうが計画しやすくなります。
- 間接照明は壁から何cm離せばいいですか?
-
一律の距離はありません。
器具の配光や照射方向、造作形状、照らす面によって適切な位置は変わります。メーカーの配光データや施工条件を確認して決めてください。
- テレビの後ろに間接照明を置いてもいいですか?
-
可能です。
ただし、テレビ画面やテレビボードへLEDの粒が映り込まないか、配線・電源装置を隠せるかを確認します。
- ベッドの下に間接照明を置いてもいいですか?
-
低い位置へ光をつくる方法として使えます。
ただし、横になった位置から発光面が見えないか、床へLEDの粒が映らないか、掃除や器具交換ができるかを確認してください。
- 間接照明を後付けするときはどこへ置けばいいですか?
-
コンセント式なら、家具の上・テレビボード裏・床置きのフロアスタンドなどから始めやすいでしょう。
コードが歩行動線を横切らない場所を選び、光源が直接目に入らないよう配置してください。
まとめ|間接照明は「器具をどこに置くか」より「どの面をどう照らすか」で決める
間接照明の配置では、器具を置きたい場所から考えるのではなく、まず天井・壁・床・家具のどこを見せたいかを決めます。
そのうえで、普段の視線から光源を隠し、器具の配光に合わせて反射面との距離や幕板などの造作を決めます。
- 照らしたい面を先に決めたか
- 座る・立つ・寝る位置から光源が見えないか
- 固定寸法ではなく器具の配光から位置を決めたか
- 光の始点と終点が不自然に切れないか
- 設備や下地まで強調していないか
- 器具・電源装置を点検・交換できるか
- 必要な照明を回路分け・調光できるか
間接照明は「LEDを隠す工事」ではなく、光を受ける建築面・生活時の視線・メンテナンスまで含めて設計する照明です。
リノベーションで造作間接照明をつくる場合は、照明器具を購入してから納まりを考えるのではなく、内装材・家具・電源・造作と一緒に配置を決めましょう。
